投資老後

【おすすめの投資】 老後資金を準備したい人にぴったりな「長期投資」

働き盛りの若い世代にとって、自分たちが年金をもらう頃の社会保障は気になるところです。年金制度が根本から崩れることは考えにくいですが、受給額の減額や受給年齢の引き上げなど、各種条件は厳しくなることが予測されています。不安を感じている人も多いかと思いますが、そんなときだからこそ注目されているのが、「自分で作る年金」です。これは老後を見据えた長期投資のことです。長期投資に適した投資スタイルや運用方法はあるのでしょうか? ご紹介します。

統計から見える、みんなの貯蓄事情

総務省の「家計調査報告」によると、2人以上の世帯における貯蓄の中央値は「1,074万円」となっています。1,000万円超の金額を見て「多い」と感じる人は多いのではないでしょうか。しかし勤労者世帯に限った統計では貯蓄の中央値は「792万円」にまで下がります。この結果を見ても、勤労者世帯が高齢世帯よりも厳しいお財布事情であることがわかります。

同じく勤労者世帯の貯蓄統計を見ると、貯蓄ゼロを含む「貯蓄額100万円未満」の世帯割合は11.8%であり、かなりの存在感があります。この結果からも、勤労者世帯の家計状況は決して楽ではないことがうかがえます。対策を練らず、このまま老後を迎えると「退職」、「医療費の増加」などにより、さらに生活が苦しくなってしまう可能性が大きいです。そんな中で、危機感を持った若者は、老後資金を準備するための「長期投資」に注目しています。

老後資金の準備はいつから始めるのがベスト?

若い世代にとって老後は遠い未来であり、「老後資金を貯めよう」と言われてもピンとこないかもしれません。多くの場合これから結婚、子育て、住宅購入などのライフイベントが発生することになるので、まずは家族のお金を貯めるのが先と考える人も多いでしょう。

しかし多くのイベントが控えているからこそ、今から老後資金について準備していきたいところです。今後家族の支出が増えると家計の余裕はどんどん減っていきます。「結婚したら」「子どもができたら」「子育てが落ち着いたら」……などと先送りにしているうちに、気がついたら定年が目の前になっているかもしれません。今後多くの出費が見込まれる人こそ、少額で投資する「長期投資」を検討してみましょう。

今から始めたいコツコツ投資

多くのライフイベントと、それに伴う出費を控えている現役世代が老後資金を準備していくなら、毎月少額を積み立てていく「コツコツ投資」がおすすめです。自己資金を減らすことがありませんし、仮に自己資金がなくとも始めることができます。

また、毎月定額を積み立てていくとリスク分散にもなります。例えばA投資信託を毎月1万円ずつ積み立て購入していくとします。A投資信託の業績がいい(価格の高い)ときは購入口数が減り、A投資信託の業績が悪い(価格の低い)ときは購入口数が増加します。こうすることで、購入価格が平準化され、高値のときに資金を一括投入してしまう可能性が減るのです。

少額投資をおすすめする理由は

市場は常に動いているため、下落リスクは常在します。過去を振り返ってみると。数年に一度は何かしら市場に激震が走る「事件」が発生しています。リーマンショック・東日本大震災・日銀のマイナス金利政策・イギリスのEU離脱……などです。仮に今日、100万円を投じて資産運用をスタートしたとしても、次の日大きなマイナスイベントが発生すれば一気に半分の50万円まで資産が下がってしまうこともありえます。しかし、1万円ずつの分散投資で運用を始めれば、そのようなリスクは回避できるはずです。資産運用は成績に波があり、一時的に評価額が大きく下がることもありえます。一時的な価格の変動に一喜一憂せず、老後までじっくり保有・運用し続けるのが成功への近道でしょう。

少額投資と一緒に貯蓄も増やしていきたい

毎月少額を投資するメリットは、貯蓄の積立ても併用して行えることです。老後までに、まとまった現金が必要になることは何度もあるはずです。急な出費時に投資をやめてしまうことがないよう、現金も一緒に積立てるコツコツ投資を行っていきましょう。


お金についてはしっかり者 ナオコ
コツコツ投資のメリットはわかりましたが、毎月定額を投資に回すのは難しいかもしれません。
資産運用アドバイザー モリウチ
まずは自動で積立てするタイプを選びましょう。給料日のすぐ後に購入するよう指定すれば、毎月しっかり投資に回していけるでしょう。
お金についてはしっかり者 ナオコ
お金があるうちに投資してしまうのですね。
それならできそうですが、ある程度増えたら、ついつい使ってしまいそうです……。
資産運用アドバイザー モリウチ
途中の解約を防ぐために、老後資金の運用であることを強く意識して始めましょう。
解約の誘惑が強い人は、あまり頻繁に成績を確認せず2,3か月ごとに1回運用成績をチェックするのもいいかもしれません。
普段から「ない資産」として捉えておくようにしてみましょう。実際はあるわけですから、資金としてあてにしない、とでもいえばいいでしょうか。
お金についてはしっかり者 ナオコ
わかりました。貯蓄とは切り離して考えるようにします。
資産運用アドバイザー モリウチ
そうですね。ただ、解約の誘惑はあまり心配しすぎることはありません。
多くの人は、資産が増えていれば「もっと増えてほしい」と期待しますし、減っていれば「はやく値上がりしてほしい」と考え解約に至ることは少ないです。
それでも早期に解約してしまうことが心配なら、原則60歳まで解約ができないiDeCoを利用してみてはどうでしょう。iDeCoについては後述します。

節税効果で選ぶならiDeCoがおすすめ

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは任意で加入する私的年金制度で、掛金の額や運用商品を自ら選ぶことが可能です。確定拠出年金法に基づいて実施されており、国民年金や国民厚生年金に上乗せすることができます。

制度の注意点

iDeCoは任意に拠出・加入できる年金ですが、制度上拠出金に上限があったり、場合によっては加入できなかったりします。働き方やほかの年金との兼ね合いで限度額や加入資格がどう変わるのか見てみましょう。

1号被保険者(自営業者・個人事業主など)
・ 掛金の拠出限度額は月額6.8万円だが、国民年金基金も含んだ額となる
・ 国民年金の未納があると加入できない

3号被保険者(主に2号被保険者に扶養されている専業主婦・主夫)
・ 掛金の拠出限度額 月額2.3万円

2号被保険者(会社員など)
・ 掛金の拠出限度額 月額1.2万~2.3万円
・ 企業型確定拠出年金の加入者については、企業型年金規約でiDeCoに加入できることを定めている場合のみ加入可能

2号被保険者(公務員等共済加入者)
・ 掛金の拠出限度額 月額1.2万円

また、大原則として20歳~60歳の人が対象です。
iDeCoに興味を持った場合は、最初に加入資格と上限額を確認しておきましょう。

iDeCoのメリット

iDeCoの特徴は税制優遇です。優遇がある分、運用益が出しやすくなります。3つの税制優遇をご紹介します。

1. 掛金の全額が所得控除の対象

掛金は所得控除の対象となり所得税が課税されません。会社員であれば会社の源泉徴収や年末調整で申告が済む点もメリットでしょう。ただし、個人事業主や専業主婦の場合は確定申告をすることになります。

2. 運用益が非課税

通常の資産運用では利益が生じれば課税されます。しかしiDeCoの利益は非課税となるため、安全性を重視したローリスク・ローリターンの投資であっても、非課税な分通常の投資よりも利益を得やすくなります。

3. 受取時は受取方法に応じた控除

iDeCoを将来、年金形式で受け取るときは公的年金控除の対象となります。例えば60歳以降なら年間70万円が、65歳以降なら年間120万円までが非課税(※)です。

一時金として受け取る場合は退職控除が適用されます。受取金額から勤続年数に応じて一定額を控除し、さらに2分の1を掛けた金額が課税対象です。

※ 公的年金控除は、ほかの公的年金と合算して計算

通常の投資では、例えば株を売却して譲渡益が生じれば、20%が課税されます(2037年までは、復興特別所得税が加算)。約2割の課税があるかどうかは投資に大きな影響をあたえます。

税制優遇だけでなく、掛金を自身の収入に応じて自由に決められるのも大きなメリットです。もしも収入や家計状況が変化したら、掛金の額を増減することもできます。ただし掛金の変更は年に1回だけですので、急な支出や収入減には対応しきれないかもしれません。普段から余裕を持った掛金にしておきましょう。

iDeCoの注意点

節税効果が大きいiDeCoですが、途中解約ができず原則60歳までは引き出すことができません。また、購入できる商品に制限があり、運営管理機関が提示する運用商品の中からしか選ぶことができない仕組みとなっています。提示される運用商品は上場株式・ETF・投資信託等などで、本数は3~35の範囲内と決して多くありません。選択肢が少ない方が選びやすいかもしれませんが、欲しい運用商品がない可能性もあるため、注意が必要です。

手数料が発生することも忘れてはなりません。国民年金基金連合会へ掛金納付(毎月)ごとに103円支払うほか、運営管理機関や事務委託先金融機関などへ支払う手数料も生じます。手数料はそう大きな額ではありませんが毎月発生するので、長い目で見ると利益を圧迫してしまうかもしれません。

特に掛金が小さいときは、利益も大きな額にはなりにくいもの。せっかく運用益が非課税なのに、手数料で利益が相殺されてしまっては意味がありません。運営管理機関・金融機関ごとに手数料額が違うので、きちんとチェックしておきましょう。

非課税期間が20年の「つみたてNISA」もメリットが多い

税制優遇があるのはiDeCoだけではありません。年間40万円まで、最長で20年間非課税の恩恵を受けることができる「つみたてNISA」もあります。つみたてNISAはもともと、2014年1月にスタートした通常NISAが進化したものです。

当初からある通常NISAは、年間120万円を上限に最長5年間運用益が非課税になるものでした。しかし2016年1月、20歳未満の子どもが対象のジュニアNISAが追加されました。さらに2018年1月に、つみたてNISAが登場しました。つみたてNISAは年間の非課税枠を圧縮した分、非課税期間が延長されたものです。

つみたてNISAのメリット

iDeCoのように掛金が控除されることはありませんが、つみたてNISAにかかる特別の「口座管理料」はありません。解約・引出も自由です。iDeCoと同じように購入できる商品に制限はありますが、手数料の低さや分配金の頻度が低いことなどの所定の条件を満たした「長期投資に向いた投資信託」に限定されているため、商品選択しやすいともいえます。

つみたてNISAは100円や1,000円など低い金額で積立てを開始できる金融機関が多いです。一時的に拠出を停止したり、積立額をその時々で変えたりと、フレキシブルに対応できる点もポイントが高いといえます。iDeCoの掛金は毎月5,000円からとなっていますし、掛金の変更も年に一度と制限があるため、つみたてNISAの方が自由度は高く、気負わず始められそうです。

つみたてNISAのデメリット

上述したように、つみたてNISAは所定の条件を満たした投資信託のみが投資対象です。さらに、購入方法は積立式のみとなります。

非課税枠で注意したいのが、つみたてNISAの口座で保有している商品を売却しても非課税枠が復活することがない点です。余った非課税枠を翌年以降に繰り越すこともできません。商品の「購入額」で非課税投資額が判断されるため、分配金の再投資(再購入)分も非課税枠を減らす要因となります。毎月の積立額が上限ギリギリの場合は、非課税枠を超過する可能性もある点を知っておきましょう。

なお、つみたてNISAと通常NISAを併用することはできません。NISA口座内で、つみたてNISAと一般NISAを1年単位で変更することはできますが、つみたてNISAとNISA間で運用商品を移動させることはできません。そのため、利用するNISAの切り替えはあまりしない方がいいでしょう。

iDeCoとつみたてNISAを併用した長期投資もおすすめ

どちらにも投資できる余裕があれば、iDeCoとつみたてNISAの使い分ける方法もおすすめです。つみたてNISAは一度売却すると非課税枠を再度使うことができないため、投資商品の入れ替えは多くても年に1回程度がいいでしょう。一方iDeCoは、口座以内での商品乗り換えや再投資は自由に行えます。つみたてNISAは長期的に保有し続け、iDeCoは市場のトレンドを見ながら定期的に商品を入れ替える……、どちらも長期投資に適した制度ですが、特性の違いを活用した手法も検討してみましょう。

通常投資にも目を向けてみよう

少額で始められるiDeCoやつみたてNISAは長期投資に適しています。とはいえ、個別銘柄へ投資して値上がりや高配当を狙う投資手法が長期投資として不適応なわけではありません。特に「自分で投資先を選びたい」「経済状況を見極め、ここぞというタイミングで投資したい」と考える人なら、個別投資できる通常投資が向いているでしょう。個人で行うと投資銘柄が限定される分リスクも負うことになりますが、一時的な値下がりに固執せず長期的な視野で行えれば大きなリターンも狙えるはずです。

ただし個別投資の場合、購入する商品・銘柄の単価が大きくなりがちです。資金がないならば、最初は小口・積立で購入し、金額を増やしていく方法がありますが、ある程度まとまった資金がある場合に向いています。資金が貯まるまでは解約が自由なつみたてNISA(もしくは通常NISA)を使い、一定期間経過後に通常投資に切り替えてもいいですね。

不動産投資や太陽光投資は上級者向け?

長期投資を考えるなら、不動産投資や太陽光投資を検討してみてもいいかもしれません。というのも、現物投資は換金性が低く長期的に保有するのが前提の投資方法だからです。短期間に転売するケースもないわけではないですが、物件価格が大きいので利益が出るまでに一定時間がかかることが多いです。購入にあたり借入れを行う場合も多く、通常は長期的に保有します。

土地や現物を購入するのにはある程度の初期投資も必要です。初期投資の際は、貯蓄を減らしすぎないよう心掛けなければなりません。借入れに頼るときも、収益がどのくらい上がるか試算し、返済に無理が出ないよう留意します。資金繰りの面で難易度が高いですが、定期的な賃貸収入や売電収入が得られれば、老後の生活はぐっと安定するでしょう。興味がある人は自己資金や借入の可能性を十分に吟味しつつ、実現の可能性を探ってみましょう。

また、不動産投資や太陽光投資にはクラウドファンディングによって少額から投資できるものもありますので、自己資金があまりない人や大きな借り入れに不安がある人は、クラウドファンディングで始めてみるのがおすすめです。

まとめ 自己資金によっておすすめの投資方法は変わる

老後資金を作る方法は1つではありません。自己資金があるなら、個別投資や現物投資もいいでしょう。しかし、自己資金が少ないなかで投資するなら、積立投資がおすすめです。中でもiDeCoやつみたてNISAは税制面の優遇があるので、ローリスクでも収益を得やすい方法といえます。最初の一歩として検討してみてはいかがでしょうか。