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あと5ヵ月!消費増税で家計はどうなる?

2019年10月1日から消費税が8%から10%に増税になる予定です。報道では先送りの可能性も示唆される、というようなこともありましたが、増税に向けての制度整備も進んでおり、増税する方向で対応を考えると良いでしょう。

では、増税することで家計にはどう影響があるのでしょうか?しておいた方が良いことがあるのか等、制度を確認しながら考えていきましょう。

過去の増税は2回

消費税自体が導入されたのは1989年(平成元年)4月1日、3%でスタートしました。
その後5%、8%へと増税が行われています。

・3%→5% 1997年(平成9年)4月1日
・5%→8% 2014年(平成26年)4月1日

過去2回ともに、増税前に「駆け込み需要」で消費がふくらみ、増税後には逆に消費が冷え込む現象が起きています。特に2014年の増税前には、保存のきく日用品等の買いだめが目立ったようです。今回の増税ではその必要はあるのでしょうか?

今回の増税の特徴 「軽減税率」の導入


今までの増税と大きく違う点の一つに、「軽減税率」の導入が挙げられます。低所得者に配慮する観点から、特定の商品に対して税率が低く設定されるものです。

今回の軽減税率の対象項目は、
① 飲食料品の譲渡(食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)の譲渡をいい、外食等を除く)
② 定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡
において、消費税8%の課税となります。

生活に必要不可欠な食料品費の課税が増えないのは有難いですね。
ただここで注意が必要なのは、外食は対象外ということです。外食とは、飲食設備(テーブル、イス等)のある場所において顧客に飲食させるサービスとのことなので、レストランでの食事はもちろん対象外ということになり、10%の課税となります。
では、総菜を買って帰ったり、ファストフードのハンバーガーを持ち帰りにしたりといったテイクアウトはどうなるでしょうか?この場合は“外食”には当てはまらず、軽減税率の対象となりますので、8%の課税になります。導入されてしばらくのうちは、少し混乱するかもしれませんね。

新聞の譲渡というのは、いわゆる毎日届けられる新聞のことで、月刊誌や定期購読図書は含まれないので注意が必要です。

今回の増税に伴い導入される制度 キャッシュレス決済のポイント還元


2019年10月1日の買い物からクレジットカード等のキャッシュレス決済をした場合、ポイントが還元される措置の準備がされつつあります。

・時期は10月1日から9ヵ月間
・キャッシュレス決済とは、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済・モバイル決済等
・中小・小規模の小売店等で支払った場合に還元される
・還元率は原則5%、大企業フランチャイズ店での支払いは2%
・消費税がかからないもの、住宅や自動車、換金性の高いもの(プリペイドカードや切手など)等は対象外となる

この制度はまだ準備段階であり、本格的な広報やPRは7月下旬以降の予定なので、順次詳細が発表されると思われますが、いずれにしても還元のメリットはありそうです。カードは持っているけど家計に使っていないという方は、この機会にキャッシュレス決済を積極的に使ってみても良いのではないでしょうか。

買いだめは不要?買っておいた方がいいものは?


前回の増税時とは違う新たな制度により、特に食料品などは大きな価格変動はないのではないかと思われます。10%に増税される日用品等も駆け込み需要は多少あるかもしれませんが、元々価格が変動しやすく、増税後のセールなどをうまく活用することで、増税直前に焦って買いだめしておく必要はなさそうです。つまり普段の生活に必要なものはあまり心配は要らないということです。

逆に元々価格が変動しないもので増税されるもの、高級品やブランドもの、テーマパークのパスポート等は買う予定があるのであれば増税前に買っておいた方がお得でしょう。

《 大きな買い物 》 住宅は?


住宅を購入した場合の消費税は、引き渡しの日の税率が適用されます。
経過措置として建築請負契約が2019年3月末までに完了すれば引き渡しが10月1日以降であっても8%になります。
すでに経過措置適用期間を過ぎているため、今から注文住宅を計画するのであれば消費税は10%になる可能性が極めて高いのですが、建売住宅のような完成後に販売する物件の場合には、9月末までの引き渡しであれば8%で購入できます。

では今のうちに購入すれば必ずお得なのでしょうか?
まずは増税後の制度の変更点をチェックしましょう。
政府は増税後の住宅購入の冷え込みを避けるため、増税後の住宅取得支援策を打ち出しています。

主なものはこちらです。

① 住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)

現在は控除期間10年、借入金年末残高の1%(最大40万円)が所得税から控除される。
増税後は控除期間が13年に延長、11以降は年末残高の1%か建物購入価格の2%÷3の小さい額が控除される。

② 住まい給付金

2014年(平成26年)にスタートした、消費税が適用される住宅を取得する場合の負担の軽減のため現金を給付する制度。収入条件があるが現状最大30万円の給付が50万円に拡充される。収入条件も引き上げられます。

③ 次世代住宅ポイント制度

増税後に新たに導入される制度。省エネ、耐久性、耐震性、バリアフリー性などが高い住宅の新築やリフォームに対し、様々な商品と交換できるポイントが付く制度。

消費税の2%増税を避ける方が良いのか、支援制度を利用するのが良いのか、どちらがお得か?というのは購入者それぞれの年収やローン予定額、住宅の仕様によっても異なり、まさにケースバイケースといえるでしょう。

ここで注意したいのは、
・土地には消費税はもともと課税されない。
・支援策には期限がある。(住宅ローン減税は2020年末、住まい給付金は2021年末まで 等)
ということです。

住宅購入は生涯のうちで最も大きな買い物といえるものです。消費増税を意識するのは当然ですが、だからといって増税を理由に焦って購入する必要はないでしょう。とはいえ、支援策の時期を逃さず上手に使えるように計画的に進めていくことも大切ですね。

《 大きな買い物 》 自動車は?


自動車の購入についても、増税後に変化があります。
税制が変わり、従来の「自動車取得税」が廃止され、「環境性能割」が導入されます。燃費に応じて課税されるものであり、購入車種によっては減税になります。ただ、この財源を確保するために自動車取得税、自動車重量税のエコカー減税を4月、5月に縮小することもあり、やはり自動車のベストな購入時期も車種や状況によってケースバイケースといえるでしょう。

また、毎年かかってくる「自動車税」も軽自動車以外は減税になります。ご自分の車種や現在の状況、また今後の使い方も総合的に考えてみると良いでしょう。

この記事を書いたのは・・・
ファイナンシャルプランナー 林 陽子 先生

・林FP事務所専属ライフプランナーとして活動中
・ライフプラン相談実績多数

《 保有資格 》
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・AFP(日本FP協会)
・住宅ローンアドバイザー

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