老後

「終活」について考えよう。いつから始める?何をすればいい?(前編)

「終活」という言葉は、「就活」や「婚活」等とともに一般的な言葉として浸透しています。現代用語の基礎知識選、新語・流行語大賞では2012年のトップ10に選ばれていて、その意味は「人生の最期を自分の望むように自分で準備すること。」とあります。

元々の「終活」の目的は、残された人の負担を軽減することや自分らしい最期を準備することですが、さらに最近では、終活をすることによって自分の残りの人生をより前向きに生きたいと願うようになるという効果も重要視されてきています。

それでは、「終活」とは具体的に何を準備すればいいのでしょうか?
そもそも、いつから始めるのが最適なのでしょうか?
考えたことがない方や、まだ早い!と思っている方も、これを機に「終活」について一緒に考えてみましょう。

「終活」って具体的に何をするの?

終活のイメージで、すぐに思いつくのは相続や財産の整理、お葬式やお墓のことなどではないでしょうか。さらにはもしもの時の連絡先や、家族へのメッセージ…考えれば考えるほど、やっておいた方がよさそうなことが沢山浮かんできて、少し重荷に思えてしまうかもしれません。

そんな沢山の事柄をすっきり整理でき、終活を一歩ずつ確実に進めていけるツールがあります。
それが「エンディング(終活)ノート」です。

エンディングノートを活用することで、自分が終活で具体的にしていくべきこと、また望むものが見えてくるはずです。
まずはエンディングノートについて知ることで、終活の全体像を把握しましょう。

「エンディングノート」とは?


エンディングノートは、終活の内容を一通り記入しながらまとめられるようになっているノートです。書店や文具店で販売されているものや葬儀社などで配られているもの、パソコンから無料でダウンロードできるものまであり、検索しただけでも世の中には多くのエンディングノートがあることがわかります。

内容もバリエーション豊かで、構成・項目数も様々、形式はノート式のものが多いですがバインダーになっているもの、データで保存できるもの等があります。自分に合ったエンディングノートを選ぶことが大切ですが、候補が多すぎて難しいという方もいらっしゃるかもしれません。
色々なエンディングノートを見比べてみると、いくつかのタイプに分かれていますので、下のタイプ別エンディングノートを参考に、自分に合ったものを探してみましょう。

シンプルタイプ

エンディングノートの基本的な項目をシンプルにまとめているタイプです。
基本的な項目とは、どのエンディングノートにも共通して備えられている項目です。
つまりこれは、終活の基本的項目でもあるのです。

○ 自分や家族等、ひとに関すること:
自分の基本的な情報、健康情報、意思表示、介護の希望、家族・親族・知人の連絡先など

○ 財産に関すること:
預貯金・有価証券・不動産・その他資産の内容、遺言の有無など

○ 終末期に関すること:
告知や延命の希望、葬儀、お墓など

○ 大切な方へのメッセージ 

細かい項目で詳細に記入できる、コンプリートタイプ

上記の基本的な項目を更に細かく書けるようになっているものです。
例えば、口座引き落としの種類やクレジットカード、ペットのこと等、普段の生活についてもまとめられるページがあったり、親族が把握しやすいように系図が描けるようになっていたり、メッセージがたくさん書けるようになっているなど、ページ数は比較的多くなります。

自分に関することに重きをおいた、自分史タイプ

自分の歴史をしっかり、何ページにも渡って記入できるものや、旅の記録や人生訓など、自分の在り方を伝えることができるタイプのノートです。質問に答えることで記入が進むものもあり、今までの人生を振り返ってみたい方にはお勧めです。
また、エンディングというより、今後の生き方を考えられる構成のものもあります。
これからやりたいことや〇年後の自分、といったことが記入できるものです。

読み物が多めについている、BOOKタイプ

相続や遺言など、あまり普段知ることのないような事柄の解説やコラムがついているタイプです。

他には写真やデータを保存できるタイプなどもあり、これだけ様々な種類があると自分に合ったエンディングノートが見つかりそうですね。

「エンディングノート」に記入する


せっかく手に入れたエンディングノート、最初からきっちり書いていこう!と頑張りすぎると挫折してしまうことがあるようです。
書き方にはコツがあり、何よりもストレス無く続けることが大切です。

書きたい、書きやすいところから書く
一気に書き終わろうと頑張りすぎず、自分のペースで書きましょう。書きやすいところから書いていても、時には確認が必要な事柄もあるでしょう。それは付箋に書いて貼り付けておく等して後回しにしても大丈夫です。
そして書いた年月日を記入しておきましょう。後で役にたちます。

書き終わった後も、見直し・書き足し・書き直しをしていく
生活をしていると、状況が変わったり、考え方も変わったりしていくのは当然のことです。
また、前は書けなかったことも歳とともに書いてみようと思えることがあります。

家族に知らせる
書いていることを家族に知らせることが大切です。自分に何かあったとき、家族が困らないことがエンディングノートの本来の目的だからです。ノートが存在すること、置き場所を知らせておきましょう。

「エンディングノート」はエンディングだけに留まらない

先ほど書いたように、エンディングノートの目的は残された人の為というのが第一の目的なのですが、エンディングノートの内容を見てみると必ずしも終末期だけではなく、普段の生活でも活用できる場面は多くありそうです。

・ 今の状況(財産、資産)を整理し、把握する
・ あちこちに散らばりがちな情報をひとまとめにできる
・ 生活の細かいことを書いておけば、急な入院等の不測の事態の際も家族が困らない

つまり、エンディングノートを書いたり終活をはじめたりするのは、老後でなくてもいつでも始めて良いのです。
少し時間が出来たとき、人生のターニングポイントを迎えたとき、終活の始め時に決まりはありません。

「エンディングノート」で気づくこと

エンディングノートを書き進めていくうちに、気づくことや気になることはありませんか?
例えば普段の生活に関してでは、家計のお金の流れが明確になったり、使っていない口座やカードが気になったりということはないでしょうか。この機会にすっきりと口座を整理する、不要なものは処分するなど何かアクションを起こすことができれば気持ちも前向きになりますよね。

そして、これから先の具体的な終活について自分に必要なことが見えてくるかもしれません。
自分の老後や最期のこと、遺言や相続、財産の管理など、終活に向けて改めて知っておきたいことを、後編ではまとめていきたいと思います。

この記事を書いたのは・・・
ファイナンシャルプランナー 林 陽子 先生

・林FP事務所専属ライフプランナーとして活動中
・ライフプラン相談実績多数

《 保有資格 》
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・AFP(日本FP協会)
・住宅ローンアドバイザー

林FP事務所 [ https://xn--vck0b9h632vz0vb.jp/ ]