老後

「終活」について考えよう。いつから始める?何をすればいい?(後編)

前編では、「終活」の全体像をとらえる為、今の自分を確認し終活に必要なことを考えていく為にエンディングノートを活用することをお伝えしました。こういうことが今後必要だな、とやるべきことに気づかれた方もいれば、今後まだまだ多くのライフイベントがあって将来の状況がわからない、という方もいらっしゃるでしょう。

ここでは「終活」でよく取り上げられる項目の中でもお金に関することの基礎を確認し、今の段階でできることを考えてみましょう。

① 相続についての基礎

相続とは、亡くなった人の財産を主に次世代に引き継ぐことであり、そこには法律で決められた手続きやルール、そして税を課せられる場合があります。スムーズにかつ親族で争うことなく引継ぎができるようにするため、遺言書を用いたり、税対策を講じたりといった事前準備をするのです。

相続財産には、負の資産が含まれることに注意

財産といえば、現金や有価証券、不動産がイメージされますが、借金など負の資産が含まれることに注意しましょう。生前に返済を済ませるのが一番ですが、できなければ残された家族に存在がわかるようにしておくことが大切です。

法定相続人と法定相続分を知る

法定相続人とは法律で定められた相続人のこと、法定相続分とは法律で定められた相続分のことです。
まず、配偶者がいる場合は配偶者が必ず法定相続人になります。そのうえで、下記の順番で法定相続人となり、それぞれの場合で相続分が変わります。

第一順位:子(子が亡くなっている場合は孫)
     配偶者と子で相続する場合の相続分は、配偶者1/2、子1/2(子が複数なら1/2を子の人数で等分)
第二順位:親(直系尊属)
     配偶者と親で相続する場合の相続分は、配偶者2/3、親1/3
第三順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥、姪)
     配偶者と兄弟姉妹で相続する場合の相続分は、配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

遺言と遺留分

法定相続人や法定相続分が法律で定められていても、遺言で本人の相続の希望を残すことができ、その場合は法定相続より遺言が優先されます。しかし、遺留分に注意が必要です。
遺留分とは法定相続人のうち、配偶者、子、親が最低限相続の取り分を主張できるというもので、遺言でも遺留分は侵害できないと法律で定められています。遺留分は相続財産の1/2(親のみが相続人であれば1/3)に対して認められています。遺留分を侵害する遺言内容にならないようにすることで、少しでもトラブルを避けることができます。

② 遺言書についての基礎


相続を考えた際、財産の相続配分をエンディングノートに書いておいても、実はノートには法的な効力はありません。遺言を遺言書に残しておくことで初めて、法的な効力を持つことができます。

法務省の調査によれば、75歳以上で遺言書(自筆証書遺言・公正証書遺言)を作成したことがあるという方は11.4%と、多くの方は遺言書を作成していないのが現状です。
しかし下記のような方は相続財産が多くない場合でも遺言書を作成しておいた方が良い、と言われています。

・ 子供がいないご夫婦
・ 相続人がいない方
・ 内縁関係、事実婚(婚姻届を提出していない)の場合
・ 財産の多くが自宅不動産の場合
・ 事業の承継を行いたい場合

遺言書の種類には3つのタイプがありますが、その大半はこの2タイプによるものです。

● 自筆証書遺言 [ 遺言書の内容等が自筆で書かれたもの ]

メリット:費用が少なくて済む、書き直しが簡単にできる
デメリット:不備により無効になる可能性、死後の検認手続きが必要

● 公正証書遺言 [ 公証役場で公証人が作成するもの ]

メリット:不備がない、原本が公証役場で保管される
デメリット:費用や手間がかかる、書き直しにも費用がかかる

※2019年1月13日より、自筆証書遺言の方式が緩和されました。従来は、内容すべてを自筆で書かなければならなかったのですが、この緩和により、財産目録に関してパソコンでの作成、通帳のコピーの添付が認められるようになりました。署名押印をすることで偽造を防ぐことができ、財産目録をすべて手書きするという負担が軽減されました。

③ 今できること・財産の整理


相続や遺言書について知っても、まだ資産も定まっていない年代にとってはまだまだ先のことで、なかなか実感がわいてこないのではないでしょうか。そんな方が今できることとして、エンディングノートにも必ずある、金融資産や不動産等の財産を書き込むページを現時点で一度まとめてみることをお勧めします。ノートの形式にこだわらず、一覧表にしても良いですが、必ず全部の口座の情報を書き出してみることが大切です。ネット銀行やネット証券は通帳がない場合が多いので忘れないように気をつけましょう。預貯金、有価証券、保有不動産、ローンやクレジットカード、あと加入している保険もリストアップしてみましょう。

残高を確認し、合計すれば現在の保有資産額もはっきりします。要らない口座やカードがあれば処分しておくと良いですね。この機会に保険の見直しの必要性に気づくこともあるかもしれません。具体的に、資産を相続することを考え始めるのであれば誰に残すのか検討する基礎資料になります。その場合には保有不動産の評価額も確認しておくことをお勧めします。

④ 今できること・老後の生活費を考え、介護の情報収集をする

今や世界屈指の長寿国である日本人、簡易生命表(2017年)では平均寿命が男性81.09歳女性87.26歳で人生100年時代も近いと言われています。どんどん長くなっていく老後期間の在り方を考えることが「終活」の具体的第一歩なのかもしれません。ライフプランニングをする場合、目の前のライフイベントも大切ですが、老後の生活を安心して送れるように意識を向けるようにしておきましょう。年金額を試算する、貯蓄を振り分ける、資産運用を検討するなど、ご自身の状況に合わせて対策を考えましょう。

そして、特に介護に関してイメージしておくことが大切です。生命保険文化センターの調査によれば、介護を始めてからの期間は平均54.5ヵ月(4年7ヵ月)とあり、経過中も含める為実際にはもっと長期間介護されると考えたほうがいいでしょう。費用面では、一時的な費用(住宅改修等)は平均69万円、月々支払う費用は平均7.8万円となっています。もちろん年数や費用は様々で、制度や施設の状況もどんどん変化していきます。自分が介護を受ける場合を考え、下記を準備できれば安心です。

● 費用の準備
● 制度を知っておくこと・近隣の施設等の情報収集 
● 自分の希望を明記しておく(エンディングノートなど)

まとめ

「終活」とひとくくりに言っても、ここには書ききれないほどの様々な項目があり、一気に進めるのは相当な負担がかかります。若いうちから自身の現状を知っておき、時々情報収集をしておくことでスムーズに終活が進められます。家族と将来に向けて話したり、希望を伝えあうのもいいですね。

終活をすることによって、自分のしておきたかったことに気づき、前向きに「生きる」ことを意識するようになるようです。まずはぜひ、エンディングノートを手に取ってみてくださいね。

この記事を書いたのは・・・
ファイナンシャルプランナー 林 陽子 先生

・林FP事務所専属ライフプランナーとして活動中
・ライフプラン相談実績多数

《 保有資格 》
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・AFP(日本FP協会)
・住宅ローンアドバイザー

林FP事務所 [ https://xn--vck0b9h632vz0vb.jp/ ]